【お知らせ】衣替えに役立つコラムを特集中♪

行平鍋(雪平鍋)

キーワード解説
もとは土なべの一種で、蓋と持ち手がある厚手の陶器の鍋のこと。現在では一般的にアルミあるいはステンレス製のものが多く、注ぎ口と取っ手をついた片手鍋を指すことが多い。名前の由来は歌人「在原行平」を語源とする説や、雪のような打ち出しの模様から名が付いたなど諸説ある。

行平(雪平)鍋の特徴と主な用途


行平鍋は、一般家庭はもちろん老舗の料亭でも使われることが多く、煮物、茹で物、出汁を作る時など、鍋を使うほとんどの和食に対応できる万能な鍋です。
一般的には、フタのない中程度の深さの片手鍋を指すことが多いです。汁の注ぎ口が左右両方に付いていることが多く、汁物やスープを分けたり注いだりすることができます。1人分のラーメンを作ったり、茹で野菜や茹で卵を作るときなどに特に便利な形状ですね。

前述のように元は土鍋の一種でしたが、やがて陶器から銅になり、昭和20年代頃からは安価で軽いアルミニウム製の行平鍋が普及するようになりました。軽くて、熱伝導率の高い銅やアルミニウム製の鍋ですが、IHコンロに対応していないものもあるため、最近は底面がステンレスでコーティングされたものやオールステンレス製のものも増えてきています。


アルミや銅はやわらかく、あまり強度がないため鍋の表面を凹凸状に打ち出すことによって強度を上げるとともに、表面積を増加させて均一に熱が伝わるようになっています。こういった鍋を打ち出し鍋とも呼びます。なおオールステンレス製の物はアルミに比べると重く、熱伝導率は高くないです。ただ長時間煮込むものには適していて、お手入れが楽というメリットがあります。

【フタが無くても大丈夫?】


行平鍋は出汁をひく料理屋や料亭などの厨房に欠かせない鍋で、調理がしやすく、たくさん重ねておいてもかさばらないように、フタがついていない場合がほとんどです。
フタがなくても行平鍋は熱伝導率が高く火の通りが良いため、特に無くて困るということはないかと思います。どうしてもという場合は、別売りでフタのみ手に入れることは可能です。

在原行平と名前の語源について

【在原行平ってどんな人?】

行平は『伊勢物語』の主人公あるいは六歌仙の一人として有名な在原業平の兄に当たる人物です。古今集に(流罪のため蟄居していたという)須磨で読んだ歌があります。


『古今集』 巻十八 962
田むらの御時に、事にあたりて津の国のすまといふところにこもり侍けるに、宮のうちに侍ける人につかはしける


在原行平朝臣
わくらばにとふ人あらば 須磨の浦に 藻塩たれつゝわぶとこたへよ

流罪であったという説明については事実不明ですが、源氏物語の「須磨」「明石」などの巻の題材になったといわれています。
また鎌倉時代の『撰集抄』には行平が須磨の海女と歌を交わす短い説話も掲載されており、これらの話は後世の謡曲『松風』(室町時代成立)にも影響を与えました。


【行平(雪平)鍋の語源になった理由は?】

残念ながら、これについて詳しい典拠はわからないのですが、おそらく行平と須磨の海女、塩などから後世の人が結びつけたものと思われます。


有力な語源の説として、行平が須磨で会った海女に塩を焼かせた鍋を「行平鍋」とした説と、焼いた塩が白くてまるで「雪」のようであり、その時使用された鍋を「雪平鍋」と呼ぶようになったなどの説があります。

今回の記事に登場したアイテム
雪平鍋 味壱(株式会社ヨシカワ)