燻製前に干し肉を作ろう!知っておきたい安全な乾燥方法

燻製前に干し肉を作ろう!知っておきたい安全な乾燥方法

これまで、自家製ベーコンづくりの基礎知識と、下準備となる肉の塩漬け方法を紹介してきました。肉が水分をたくさん含んだまま燻煙(くんえん)しても香りがよく移らないだけでなく、菌が繁殖してすぐに腐ってしまいます。ですから、燻煙にかける前に肉を干し、乾かす必要があるのです。

「おうちで自家製ベーコンをつくろう!」について
市販のベーコンとは全く別物? 一度味わうと忘れられない美味しいベーコンをおうちで作ってみませんか? 時間のかかる作業ではありますが、難しいことは決してありません。さっそくやってみましょう♪
関連コラム一覧

 
今回は燻製に向けた最後の下準備として、肉を干す工程をご紹介します。

肉を干す準備をしよう

まずは塩漬けにした肉から、余計な水分を拭き取ります。乾塩法の場合、塩に漬けている最中に肉からドリップが染み出してくるのがわかるはず。


このドリップが臭みや腐敗の原因になりますから、塩漬け中はドリップを吸った塩ごと捨てて、新たに塩を追加してあげます。できれば毎日それを繰り返すのが理想。塩漬けが完了したら水でしっかりとドリップを洗い流して、最後に水気をよく拭き取ってください。

湿塩法の場合も肉をさっと洗い流し、水気をよく拭き取ります。これで肉を干す準備が完了!

肉を干す目的と腐らせないポイント

何のために肉を干すの?


燻製はそもそも保存食で、保存性を高めるための知恵の集大成です。「肉を干す」というのもその一つ。

肉が腐る主な原因は、肉の中に含まれる血液や体液を養分として雑菌が繁殖することにあります。ですから、肉を干して雑菌が繁殖しにくい環境をつくるという目的があるんです。

なぜ肉を干しても腐らないの?

気温と湿度が高い中で肉を干すと、いくら塩漬けしている肉でも痛む可能性があります。

重要なのは、雑菌が繁殖するよりも早く乾燥させるということ。肉を干すというのは、雑菌と乾燥の競争のようなものなんですよ。乾燥するよりも早く雑菌が繁殖すると、お肉は腐ってしまうのです。これは魚の干物なども同じ。

また、事前に肉を塩漬けにしておくというのも、菌を繁殖させないためには大切なことです。塩や砂糖と結合した水分は、菌の栄養にはなりません。加えて塩や砂糖の浸透圧で水分を外に出すことで、いっそう菌が繁殖しにくい環境となります。さらに念を押して乾燥させて菌が繁殖できない環境をつくるというのが、今回の「干し」の工程の目的。

ですから、肉を干す際にはその地域の気候やその日の天候、気温などを気に留める必要があります。

こんな時は干しちゃダメ!肉が傷みやすい条件とは?

直射日光があたる場所

お肉は、風通しのいい陰干しが基本です。直射日光があたると肉自体の温度が高くなり内部の雑菌が繁殖しやすくなります。その結果、肉が乾燥するよりも早く菌が繁殖し、腐る確率が上がってしまいます。

気温が高い日

食中毒などを引き起こす細菌の多くは、気温20℃を超えるあたりから活発になります。ですから、暑い夏(気温20℃を超える日)は肉を干すのに向いていません。梅雨の時期などは湿度も加わり環境としては最悪で、肉が腐ったりカビたりする可能性が高くなります。

自宅で干し肉や燻製を作る機会の多いヨーロッパでは、ボツリヌス菌により食中毒が多く報告されているといいます。ボツリヌス菌は非常に強い毒性のある細菌で、もっとも繁殖しやすい温度は30℃から37℃。気温にはよく気をつけてくださいね。

雨の日

軒先やガレージなど、雨が直接当たらない場所とはいえ、湿度の高さから肉が傷んでしまう可能性があります。雨の日は外で干すのをあきらめましょう。

夜は気温が下がる一方、肉に夜露がついてしまいます。干すどころではなく水っぽくなって腐敗を早めますので、季節にかかわらず夜間は冷蔵庫で肉を保管しましょう。

肉の正しい干し方と乾燥の確認方法


肉を干すのに適さない条件を見ると、自ずと干すのに最適な条件も見えてきますね。

虫が肉に卵を生んだり、細菌を媒介したりするリスクもありますから、干すときはぜひとも干しカゴ(干しあみ)を使ってください。

風通しのいい場所で一日も陰干しをすれば、いよいよ燻製の工程に進めます。肉の表面を指で触って少しペトッとする程度、肉が全体的に最初よりも固くなっているくらいが頃合いです。

この時点で肉が明らかに変色していたり糸を引いていたりしたなら、残念ながら失敗。もったいないけれど、これもお勉強だと思って処分してくださいね。

外に干せない場合は?家庭内でも出来る最適な干し方


肉を干すには、気温や湿度、直射日光や風の流れなど、さまざまな条件があります。そう考えると意外と難しい作業ですが、実は肉を干すのに最適かつ安定的な環境がどこのご家庭にもあるんですよ。

そう、冷蔵庫です!

冷蔵庫の中であれば、季節やその日の天候にかかわらず肉を干すことができます。もっとも理想的なのは肉を裸のまま冷蔵庫内で干すことですが、それだとにおい移りが心配ですよね……

肉を新聞紙などで包み、干し時間を長くするなど工夫すれば大丈夫ですよ。ただし、保存袋などで肉を密閉しないこと! 湿度が外に逃げず、肉を痛めてしまいます。

最後に

塩漬けに一週間、陰干しに一日から三日と考えれば、燻製の下準備に合計十日間前後。こう見ると、燻製づくりは簡単なのですが時間がかかります。その分、完成したときの喜びもひとしおですよ!

次回はいよいよ、干し肉を燻製します! お楽しみに!

「おうちで自家製ベーコンをつくろう!」シリーズ一覧【全4回】
【第1回】初めてでも出来る「自家製ベーコンづくりと燻製の基礎知識」
【第2回】燻製液でアレンジを楽しもう【ソミュール液・ピックル液】
【第3回】燻製前に干し肉を作ろう!知っておきたい安全な乾燥方法
【第4回】スモークウッドの使い方と自家製ベーコンの燻製方法

The following two tabs change content below.
MTWアキ

MTWアキ

料理愛好家/ライター/クリエイター/作家
「おいしいに国境なし!」──を合言葉に、料理の「?」や「!」を探しながらご家庭で役立つ知恵やアイデアを探求中! 料理のイロハを先生に師事して学びながら、ワンランク上のこだわり料理にもアクセル全開で挑戦します! たまには先生が記事に登場することも?