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徹底的なメンテナンスで錆びた包丁が復活!~せっかくなら鏡面仕上げに~

サビてボロボロになった包丁を蘇らせるシリーズ、最終回となる今回は、包丁を鏡面に仕上げていきます。最初は見るに耐えなかった三徳包丁ですが、サビ落としと欠けの修繕を行い、ずいぶんと様変わりしてきました。

「おうちで出来る包丁研ぎ」シリーズについて
キッチンから、ずっと使っていない見るも無残な三徳包丁が出てきたのが数週間前のこと。すっかり存在を忘れてしまっていたボロボロの包丁を手に、いたたまれない気持ちに……。そこで、この包丁をどうすれば蘇らせられるか、私の師匠(?)である先生に相談してみました。今回は先生が包丁のメンテナンスを実践してくれます!(私は撮影係です^^;)

 
前回までの記事もぜひご覧ください。
同じシリーズの記事はこちら 
実践! 錆びた包丁を蘇らせよう!
刃こぼれした包丁、どうやって修復するの?

包丁を鏡面仕上げにする3つのメリット

そもそもなぜ包丁を鏡面に仕上げるのか。実は、鏡面仕上げには合理的なメリットがあるのです。

■サビにくくなる
表面についた小さな傷などに水分が入り込むことで、包丁は徐々にサビていきます。つまり、傷がなければサビにくいということ。
鏡面仕上げというのは表面を鏡のようピカピカに磨き上げる処理ですから、水気が入り込む小さな傷などが少なくなるのです。包丁を大切にと思えば、鏡面仕上げは合理的な処理方法なんですよ。

■汚れが落ちやすくなる
野菜を切っていると野菜クズが包丁にまとわりついたり、お肉を切っているとしつこい脂汚れに手間を取られたりすることが少なくありません。
包丁を鏡面に仕上げると、こうした悩みが軽減します。表面が滑らかになることでカスや汚れが落ちやすくなるからです。その分、お手入れも簡単になるということ。いい状態を長く保つためにも効果的です。

■清潔感がある
サビた包丁で調理して出されたお料理は、何となく気分があまりよくありませんよね。板前さんが包丁をきれいな鏡面に仕上げるのには、お客さんに対するパフォーマンスという意味もあります。

実はサビ(酸化鉄)というのは、食べたところで体に害があるわけではありません。水道水などにも鉄サビが含まれていますし、何よりも鉄は人間にとって必要な栄養素。でも、やっぱり包丁はピカピカに手入れしておいた方が気持ちいいですし、料理にもがぜん気合いが入るというものです。

鏡面仕上げに必要なもの

包丁を鏡面に磨いていくにあたり必要なのは、研磨剤だけです。研磨剤にもペーパー状のものや液状のもの、ワックス状のものといろいろありますが、今回はホームセンターなどでお手軽に購入できる耐水ペーパーをつかいます。

ペーパーは、番目の数字が小さい方が目が荒く、数字が大きくなっていくにつれて目が細かくなっていきます。包丁を磨くときは、小さい番目から徐々に大きい番目に上げていくのが鉄則。今回は実践! 錆びた包丁を蘇らせよう!で表面をある程度磨いてあるので、800番から始めます。

それでは、いよいよ包丁を磨きあげていきますよ! 今回も実践してくれるのは私の先生です。先生、よろしくお願いします!

鏡面になるまで包丁を磨こう!


最初につかうのは、800番の耐水ペーパー。サビ落としなどせず、磨きから入る場合はもう少し番目の低いものから始めるのがいいかもしれません。

耐水ペーパーは水をつけながらゴシゴシこすっていきます。何も難しいことはなく、ただこすり続けるだけです。刃先で手や指を切らないよう十分ご注意ください。


全体をまんべんなく磨きあげていきます。特にコツなどもありません。できるだけ全体を均一に磨いてくださいね。

ちなみに、砥石など固く平らなもので包丁を磨きあげようとしても、うまくいかないとのこと。というのも、包丁というのは必ずしも平らではないからです。特に和包丁は“裏すき”といって、刃の片側がえぐれています。今回の三徳包丁も手打ちという性質柄、表面がボコボコしていますから、固くて平らな砥石などではまんべんなく磨き上げることができません。そんなわけで、包丁を磨くにはペーパー状のもの等が使いやすいのです。


800番で磨き上げたところ。

研磨剤でこするというのは「小さな傷をつける」のと同じことです。表面に細かい傷がたくさん見えますよね。少しずつ番目を上げていって、この傷をどんどん小さくしていきます。


ペーパーで包丁を磨くとき、先生はこうしてコルク栓をあてています。こうすることで力が入りやすくなり、万一刃先に触れることがあっても指を切ることがありません。コルク栓、いたるところで大活躍です!


次は1000番で磨きあげていきます。800番よりもかなり目が細かくなめらかな手触りですが、鏡面にはまだまだ遠い道のり。800番は10分ほど磨いて終わりました。1000番も同じくらいの時間で完了。


さっきよりもずいぶんと光沢を帯びましたね。写真の具合もあると思いますが、実際には小さな傷がけっこう目立ちます。それにしても、最初のサビだらけだった姿からは想像もつかない光沢です。


今度は1500番です。かなり目の細かいペーパーで、このあたりからグッと包丁の表情も変わってきます。鏡面が近づいてきているのを実感できるくらいの番目。やはり10分程度磨き続けます。


いかがですか? 包丁にあたりの様子が映り込んでいるのがわかります。この後2000番で包丁を磨き上げ、その後は3000番の研磨シート、4000番の研磨フィルム、8000番の研磨フィルムといった流れで磨き上げます。

磨き続けることおよそ一時間。出来上がったのがこちら!


包丁がまるで鏡のように……。

写真下部に見えるのは、仕上げ砥石です。砥石がしっかりと包丁に映り込んでいますね。ここまで仕上げてもらえれば大満足。

それにしても刃欠けの修繕も大変でしたが、これもこれで大変な作業です。研磨していると指が痛くなってくるそうで、先生も途中で何度かの休憩を挟んでいました。

所要時間は約一時間。もしご家庭に眠っている包丁があれば、是非挑戦してみてください。

大切に使えば、包丁は一生もの!

包丁の錆落としに欠けの修繕、そして最後は鏡面仕上げと、道のりは決して楽ではありませんでしたが、お陰様で見るも無残な三徳包丁が見事に蘇りました。最後にもう一度、最初の酷くサビた状態から、どのくらい蘇ったかを見てみましょう。

この通り、包丁はメンテナンスをしてあげることで蘇ります。使用頻度や研ぎの頻度にもよりますが、通常であれば一本の包丁を一生涯に渡って大切に使い続けることもできるんですよ。毎日のように包丁を使ったり研いだりするプロの板前さんなどでも、一本の包丁を20年から30年も使い続けます。

これを機に、ぜひともご自分の包丁と向き合ってみてください。

最後に

もともとはサビて使いものにならなかった三徳包丁。実は私は普段、牛刀をつかうことが多く、三徳はほとんどつかうことがありません。でも、そのせいでメンテナンスを怠り、ボロボロにしてしまったのは反省しなくてはなりませんね。

今回ここまで丹念に仕上げてもらい、この包丁に対する愛着がグンと強くなりました。
包丁の寿命は使う人次第。きちんとメンテナンスしながら大切に使えば、一生のパートナーにもなってくれます。
こうして“物を大切にする心”を、手間のかかる現場仕事に触れてたまには思い返したいですね^^

「錆びた包丁を復活させよう」シリーズ
【第1回】実践!おうちで出来る「包丁研ぎ」~錆びた包丁を蘇らせよう~
【第2回】家庭用包丁の研ぎ方とメンテナンス~刃こぼれした包丁も修復できる?~

【第3回】徹底的なメンテナンスで錆びた包丁が復活!~せっかくなら鏡面仕上げに~